[レポート]iPad専用日刊新聞「The Daily」をさっそく読んでみた Part 2

■とにかく“もっさり” さて、おおざっぱに「The Daily」のファーストインプレッションを書いてみましたが、個人的な総括としては、日本人には“オススメできない”という結論です。 現状公開されている情報であれば、無料のWEBサイトを探せば同等の情報はいくらでも見つけられそうということも理由のひとつですが、一番問題なのは、とにかく何をするにも動きが“もっさり”しているという点です。 アプリを起動するとまず未読記事が読み込まれるのですが、この間ユーザーはただじっと画面を見つめて待つことしかできません。やっと記事の読み込みが終わり、ホーム画面が表示されると今度は小さいビデオが起ち上がり、中のお姉さん(もしくは、おっさん)がやおらニュースを読み出します(これは設定で停めることも可能)。 後ろで回転するカルーセルスタイルのサムネール一覧もカクカクカクカク、とぎこちなく、とてもスタイリッシュとはいえません。
起動するとお姉さんが「本日の注目記事」を(英語で)説明してくれます
速度については今後アプリのバージョンアップで改善される可能性ももちろんあると思いますが、いくら忍耐強いと言われる日本人でも、現状のクオリティではお金を払って定期購読したいと思う人は少数派ではないでしょうか(そもそも英語が読める人が少ないわけですが)。 ■それでも「The Daily」の存在意義があると思える理由 「The Daily」がいま誕生した意義は別のところにあると思います。 日本のトラディショナルな出版社や新聞社がいつまでも紙媒体に軸足を置き、紙とeBookを切り離して経営を考えられないことは、日本のeBook市場に混乱を招いている最大の原因だと思うのですが、その点「The Daily」は、最初から紙など眼中にない、というスタンスで、制作体制から販売チャネルまでいっさいがっさいを再構築しました。 そのうえで、タダ同然ともいえる価格で記事を提供しているのですから、これにはちゃんとした“カラクリ”があり、かつ、いろいろなプランを計算していると考えるのが自然です。当然、日本の出版業界が学ぶべき点もそこにはたくさんあるはずです。 率直に言って「The Daily」が成功するかどうかは未知数です。 もしかしたら、半年でコケてしまうかもしれません。 それでも、こうして極東の一平民がブログで批判を書くぐらい世界中で話題を集めることに成功したわけですから、たとえコケたとしても、一定の成果はあったといえるのではないでしょうか。 本当に、この“潔さ”を、ぜひ日本のトラディショナルな新聞、出版各社に見習ってもらいたいものです。   ■パート1はこちら>>

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