AIに聞いてみた! ChatGPTとGemini、自分好みの読書リストを作成してくれるのはどっち?
前回の記事では、物知りなChatGPT 先生におすすめの本を提案してもらいました。
今回は、AI界の2トップ、ChatGPTとGeminiに同じ質問を投げてみて、どんな答えが返ってくるのか検証してみます。
なお、両者はいずれも有料プランバージョン(ChatGPT Plus / Gemini Advanced)を使用しています。
ChatGPTとGeminiに同じ質問をしてみた
今回は次のように相談を持ちかけました。
選考条件は
・ジャンルは、国内外のミステリー、SF小説
・アガサ・クリスティのような超人気作家たちは除外
・日本語で読める
・Kindleストアで現在購入できる
人間に言ったら軽く「面倒くさいヤツだな」と思われそうな質問をしていますが、AIに質問をするときはできるだけ細かく希望を伝えるのが、良い回答を引き出すコツです。
ちなみに、このAIへの質問文を、専門用語で「プロンプト」と言います。
AIを活かすも殺すもプロンプト次第なのですが、その話はまた改めて別記事で解説したいと思います。
AIが提案する読書リスト:ChatGPTの選択
まずChatGPT 先生がオススメしてくれた5冊。
リンクやリストの数字は筆者があとで付けたものですが、それ以外は極力原文ママにしてあります。
- 『星を継ぐもの』(ジェイムズ・P・ホーガン著)
SF小説の中でも特に考えさせられる作品で、科学と人類の起源に関する謎を扱っています。思慮深く、論理的な展開が楽しめます。 - 『黒い家』(ピーター・メイ著)
スコットランドの風景を背景にしたミステリーで、深い人間ドラマと複雑な謎解きが魅力です。日本でも人気の高い作家です。 - 『虐殺器官』(伊藤計劃著)
近未来を舞台にした日本のSF小説で、言語と心理戦をテーマにしています。独特の世界観と深いテーマが印象的な作品です。 - 『ベルリン・ブラウンシュヴァイクの石膏仮面』(東野圭吾著)
日本のミステリー作家、東野圭吾の作品で、ユニークな設定と意外な結末が特徴です。彼の作品は多くの読者に愛されています。 - 『ハイペリオン』(ダン・シモンズ著)
複雑でリッチな世界観を持つSF小説で、詩的な言葉遣いと深い物語が魅力です。SFファンならぜひ読んでおきたい一冊です。
これらの本は、日本語でKindleストアで購入可能で、多様なスタイルとテーマを持つミステリーとSFの世界を楽しむことができます。
スコットランドの作家、ピーター・メイの『黒い家』は、原題の『The Blackhouse』をうっかり直訳してしまったようですが、『さよなら、ブラックハウス』の邦題で早川書房から刊行されています。おそらく筆者が英語は苦手だろうと踏んで気を遣ってくれたのだと解釈しましょう。
ピーター・メイは他にも『ロックダウン』『忘れゆく男』といった高評価のベストセラーがありますがいずれも未読なので、この機会に読んでみたいと思いました。
ちなみに個人的には、1999年に映画化もされた貴志祐介のサイコ・ホラーミステリー、『黒い家』のほうが好みかもしれません。大竹しのぶの狂気あふれる怪演は、いまでも脳裏に焼き付いています。もちろん舞台はスコットランドではなく、日本です。
残る1冊、東野圭吾の『ベルリン・ブラウンシュヴァイクの石膏仮面』は該当する本が見つかりませんでした。字面から察するに『マスカレード・ホテル』のことかもしれません。
AIが提案する読書リスト:Geminiの選択
続いて、Gemini 先生の回答を見てみましょう。
質問文はChatGPT先生にしたものと全く同じです。
選考条件は
・ジャンルは、国内外のミステリー、SF小説
・アガサ・クリスティのような超人気作家たちは除外
・日本語で読める
・Kindleストアで現在購入できる
選考条件:
ジャンル: 国内外のミステリー、SF小説
除外: アガサ・クリスティのような超人気作家
言語: 日本語
購入場所: Kindleストア
- 『マスカレード・ゲーム』(東野圭吾)
ホテルマンに扮した刑事新田と山岸が、仮面舞踏会を舞台に殺人事件の謎に挑む。 ホテル業界の裏側と、人間心理の奥深さを描いた作品。 新田と山岸のコミカルなやり取り、仮面の下に隠された秘密、衝撃的なラストシーン。 - 『medium 霊媒探偵城塚翡翠』(相沢沙呼)
透視能力を持つ少女・城塚翡翠と、刑事・鐘場警部。死者の言葉を視て真実を暴いていく。 翡翠の透視能力による死者の視点、翡翠と鐘場の掛け合い、毎回異なるトリックと結末。 - 『三体』(劉慈欣)
文化大革命時代の中国を舞台に、地球に飛来した謎の文明との接触を描いたSF小説。 壮大なスケールと深いテーマが魅力。 三体と人類の壮絶な戦、文化大革命という時代背景、宇宙の真理に迫るテーマ。 - 『屍者の帝国』(冲方丁)
江戸時代の日本を舞台に、不死の民と戦う侍たちの物語。和風ファンタジーと歴史ミステリーが融合。 迫力満点の戦闘シーン、江戸時代の風俗や文化、不死の民の起源。 - 『すべてがFになる』(森博嗣)
天才物理学者・犀川創平と助手・西之園萌絵が、大学内で起こる密室殺人の謎に挑む。理系ミステリーの先駆け。 犀川の論理的推理、西之園の成長、巧妙なトリックと意外な結末。
※ 上記の作品はすべて、Kindleストアで現在購入可能です。
この回答は、各作品の詳細に加え、例や補足説明を追加することで、より内容を充実させました。
あなたの読書の参考になれば幸いです。
以下の5冊もおすすめです。
これらの作品は、いずれも個性豊かで読み応えのある作品です。 あなたの読書の幅が広がることを願っています。
と、Gemini先生は5冊+追加5冊の計10冊をオススメ本として挙げてくれました。
まるで指示を出さずとも先回りして行動する辣腕営業マンのようです。
肝心のリストですが、パッと見、おもしろそうな作品ばかりなのですが、残念ながら既読や超有名作品が多く、やや新鮮さに欠けるラインナップと言わざるをえません。
とはいえ、質問者の既読本かどうかなんて賢い営業マン AIでもわかるわけがありませんので(それもわかったうえで回答を出されたら怖いですが)、そこはマイナス査定にはしないでおきましょう。
各作品の解説は割愛しますが、誤った情報もチラホラ混ざっていたので補足です。
『屍者の帝国』は冲方丁ではなく伊藤計劃の著作。
オススメで挙げてきた『宝彩神』はもはやどこを探しても見つかりません。
(もし「これじゃね?」という作品に心当たりがある方はコメントで教えてください)
冲方丁氏はAI界で嫌われているのか、なぜか誤った情報が多いのが気になります。
そして、AIたちは伊藤計劃と東野圭吾をやけに推してくる傾向があるのも興味深いところです。
なお実際のGemini先生の回答画面は、下図のように書籍のカバー画像とAmazonのURLも一緒に出してくれるので、文字だけしか出力しないChatGPT先生より親切といえます。
結論:ChatGPTとGemini、結局どっちがいいのか
結論から言うと、今回筆者の好みの本を提案してくれたのは、ChatGPTのほうでした。
「国内外のミステリー、SF小説」というかなりざっくりした質問でしたが、「まずはこの辺かな?」という斬り込み方がGeminiよりChatGPTのほうが、より筆者の好みに沿っていた気がします。
ただ、今回の検証のように、どちらも100%正確な情報を出力するとは限りません。
生成AIに相談をする場合は、通常は何度も出力(回答)とフィードバック(修正または追加質問)を繰り返しながら、自分が欲しい情報を引き出していくのが王道です。
今回はあえて初回に出力された回答を晒して 紹介していますが、再検討を指示すればまったく異なるリストを挙げてくれる可能性もあるわけです。ですので、本記事だけ見て「なんだ、AIってバカだな」と早合点せず、ぜひ実際に自身でAIと読書談義を交わしてみて、その実力を体感していただければと思います。
欲しい情報をなるべく少ない回答で引き出すプロンプト(質問)のコツは、また別の記事で解説します。
最後に1つだけ補足しておくと、2024年2月時点、ChatGPTは2023年4月までの情報しかインプットされておらず、一方のGeminiは2023年11月までの情報が蓄積されています。より最新の本の中からセレクトしてほしいという場合は、Geminiにお願いするほうが高い満足度を得られるかもしれません。
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